President's Message 海運業を目指す方々へ…

藤原海運は私で3代目となります。初代が海運業をはじめた頃、この大三島をはじめ伯方島など、「今治しまなみ」といわれる地域から次々と海運業が立ち上がりはじめました。当初は九州から石炭を運ぶのが主な目的だったようです。

当時は機帆船と呼ばれる小さなエンジンが付いた帆船で九州から関西方面へ石炭を運んでいました。そして瀬戸内のこのあたりが汐待ちの港としての役割を担っていたこともあり、海運業者が栄えていったと考えられます。

先代である義父が他界した後、藤原海運を引き継ぐ形で私が船に乗りだしたのが34歳の頃でした。それまでは陸上の石油コンビナートで働いていました。少なからず船舶への積み込み作業の経験もあり、海運業への移行はさほど難しくは無かったです。

船での仕事は、単に船を操舵するだけでは無く、電気系統やエンジン周りの点検・修理をはじめ、あらゆる技術の集大成であります。海上でのトラブル等にも対応出来るよう、船にまつわるあらゆる事を把握しなければなりません。

当時の私は義父から引き継いだときに初めて船に乗り、そこから船舶免許の取得や、諸々の技術を習得してきました。

藤原海運ではほとんどの従業員が船舶免許を持っていない状態から就業をはじめ、業務を行いながら技術を学び、さらには有給で船舶学校への受講も受けられるようにしています。もちろん受講料や寮費も会社で負担します。全くの未経験者でも1人前の船乗りに育て上げる事を続けております。

藤原海運では現在、液体化学薬品を積載するタンカー船を所有しており、運ぶものは全て液体となっています。荷物の積み下ろし作業としては、工場の港に入りパイプを接続しタンクへの注入、そして荷下ろしも同じくパイプを接続して注出するという作業になります。
キツい作業のように思われがちですが、パイプ等の接続や、貯蔵タンク洗浄もタンク内に設置された機械で自動で行われ、そのほとんどが機械を操作し確認するという作業になり、作業自体は重労働ではありません。女性でも問題なく行える作業です。

現在の運行航路としては、九州から瀬戸内海を通り、大阪、名古屋そして川崎・東京方面、遠くても茨城県の鹿島となります。

その昔、海運の仕事は危険とされていました。気象情報も今のような正確さは無く、船長の判断に委ねるところが大きかったです。レーダーも無く、海図と目視で航行を行うという技量が求められていました。今ではかなり正確になった気象情報や、海上保安庁からの情報、さらには船に装備されているGPSやレーダーで他の船舶はもちろん、小型の漁船や、ブイまでも可視化されるので、夜間の航行も昔に比べると格段に安全になっています。

海運業という仕事…

海運業、特に私ども藤原海運の特徴としまして、通常の企業と比べて大きく違うのがまとまった休みが多いということです。55日間船に乗って25日間連続して休日となるというサイクルです。当然55日間の乗船中も休日はあります。
もちろん25日間連続の休日でも給与はでます。
通常の企業と大きく違うのがこの働くサイクルです。

なので、そのまとまった休日を趣味や家族サービスに費やすも良し、仕事のスキルアップに費やすのも良し、自分の時間を満喫できるかと思います。

かといって55日間連続の勤務も決してキツい仕事ではありません。最近では女性の船乗りの方も増えてきていると聞いております。

船の操舵、エンジンを管理する機関室それぞれ交代制の勤務となります。船の操舵に関しては3人、機関室に関しては2人で交代制となります。通勤時間というものも無いので、実際労働時間は短く、実作業に入っていない時間のほうが長いです。

船内では各自個室を設けていますので、作業の無い時間帯は部屋でテレビを見てくつろいだり、今ではパソコンに興じる方が多いですね。
乗船期間中の食事も全て会社が用意します。食材を船に積み込みますので、乗船メンバーで手分けして賄いを作ったり、各自食べたいものを作ったりします。

そして、最大のメリットは船で働く方はどこに住んでも良いということ…
55日間の業務中は船が生活の場所になります。仕事開始の時点で船に乗船できれば良いので、弊社の社員達はここ今治に在住はもちろん、熊本や大阪、遠くは石川県に住まわれて通っている方もおられます。

海運業を目指す方々へ…

船乗りに向いている人としては、55日間同じメンバーで生活を共にしながら働くわけですから、ある程度協調性のある方が良いかと思います。

そして何事にも挑戦できるという方です。

先ほども申し上げましたが、いったん航海に出てしまうと、船内でのトラブルに関しては乗組員で対処しなければなりません。またより作業の効率を計るための改良等も自分たちで行うこともあります。そういったことで電気・機械技術や、旋盤、溶接等など… あらゆる技量が求められます。もちろん船の上ではこういったことが日々習得できる環境が整っていますので、これらの環境を活用して日々自身の技量を向上させるというような方が望ましいと思っております。
そして船舶免許の取得、当社の船で500トンクラスの船ですから、4級海技士免許の国家資格取得が必要となります。とはいえ、2ヶ月間学校に真面目に通えば船舶免許の取得はそんなに難しいものではありませんのでご安心ください。藤原海運では、会社負担で授業料・寮費等の支払い、そして就学中にも給与が支払われるというメリットがございます。

船乗りというのは60歳、70歳でも現役バリバリで仕事が可能です。今治のとある海運業者では90歳現役の船乗りがおられるそうです。なので40歳からでの転職であったとしてもまだまだ20~30年は働く事が可能です。

55日間働いて25日連続で休むという一般的な企業からすると変則な勤務態勢ですが、逆にこの仕組みを生かして新しいライフスタイルを構築するということも可能です。

このWEBサイトをご覧になったということは、少しでも船の仕事に興味を持たれたのかと思います。是非私ども海事都市今治の海運という仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

藤原海運株式会社 代表取締役
藤原 眞五